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トゥルー・グリット

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監督:コーエン兄弟
原作:チャールズ・ポーティス
出演:ジェフ・ブリッジス、マット・デイモン、ジョシュ・ブローリン、ヘイリー・スタインフェルド

チャールズ・ポーティスのベストセラー小説が1969年映画化され、主演したジョン・ウェインがアカデミー主演男優賞を取ったことで知られる「勇気ある追跡」の原題がTrue Grit(本物の根性)であった。この度コーエン兄弟の監督でリメイクされた「トゥルー・グリット」が震災下の日本で2011年3月に公開された。

アカデミー賞10部門にノミネート(結果的には一つも取れなかったが)され、アメリカでの興行成績も上々という高い前評判の中、計画停電の合間を縫って観ることができた。

映画は主人公の14歳の少女のナレーションから始まり、その後も原作にほぼ忠実に展開される。「勇気ある追跡」もかなり原作通りであったので、今回の「トゥルー・グリット」もストーリー自体は前作と共通している部分が大きい。ただ、音楽に聖歌が多用されていることもあり、基調は厳かでありクールだ。コーエン兄弟がアカデミー賞を取った「ノー・カントリー」のような鮮烈な描写もなく、オーソドックスなんだけれども従来の西部劇らしい情熱が感じられないのが残念な所。背景的にも夜や雪のシーンが多く、寒々とした印象が強い。

ルースター・コグバーン役はジェフ・ブリッジスであり、ビッグ・リボウスキーと同様、飲んだくれでだらしないキャラクターを魅力的によく演じているが、デュークファンとしてはルースターが初めて登場する場面では思わずここでデュークが出てくるのでは期待してしまい、苦笑するのであった。

ただ,マティ役のヘイリー・スタインフェルドはブリッジス以上に適役であり助演賞どころかアカデミー主演賞でも良いと思わせるほど。彼女とウェインが共演する「勇気ある追跡」が観たかった。マット・デイモンのテキサスレンジャーは、原作のイメージ通りで旧作のキャンベルを上回ったといえよう。しかし、繰り返しになるが、全体の基調としてクールな感じが強くて、私の期待するヒューマンな感じやユーモア感がもっとあればと思う。

本作での一番の見所は何と言っても、マティの乗る愛馬リトル・ブラッキーであろう。ルースターを追ってマティが馬に乗ったまま川を渡る(というか泳ぐ)シーンは感動的ですらある。

そしてラスト近く毒ヘビに噛まれたマティを救うべく、彼女を乗せたブラッキーは全速力で駆ける、駆けるという夜の星空の下の場面も素晴らしい。ついにブラッキーは倒れてルースターはマティを抱えて走り出す。「三人の名付け親」で赤ん坊を抱えて砂漠を脱出するウェインを思い出すなー。

思い出すといえば、ルースターとラブーフが固パンを空中に投げ上げて拳銃の腕前を自慢しあうシーンはまるで「赤い河」のモンティとアイアランドの撃ち合いだよね。本作のラストは原作通り、25年後マティが墓参りするシーンであるが、デュークが柵を馬で飛び越える場面の方が好きだと思うのは私だけでしょうか?

投稿: J.W. | 2011年3月29日 (火) 17時57分

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コメント

 このサイトで紹介された原作(:ハヤカワ文庫)を読んで、映画は2回見て、「勇気ある追跡」をDVDで飛ばし見して、3カ月を経て書いています。
 一部、原作、前作、本作で違う点がありますが、ストーリー(エピソードの積み重ね)は殆ど一緒です。
 通常、リメイクは前作に劣ると云うのが私の持論ですが、今回は両作とも別々に成立っていると思う例外でした。
 前作はジョン・ウェインがアカデミー賞を受賞したことと、印象的なライフル&拳銃の馬上二挺射撃でジョン・ウェイン映画そのもの如く語られますが、映画の大半はコグバーン、ラビーフに負けないマッティ、あるいは彼らをやりこめるマッティのしっかりぶりが楽しい映画でした。このマッティ像が開拓時代の女性を彷彿させて西部劇らしさを感じます。
 マッティ女優の年齢によるところが大きいのか「トゥルー・グリット」では同じエピソードでも健気でひたむきなマッティ像になる。
 置き去りにされて河を渡るシーンでは、前作は「そんな事位では負けませんよ」とマッティ。コグバーン「中々やるな」の感じか。本作では必死に鞍にしがみつき(身体は鞍から離れて浮いている)、冷たさに耐えながら渡るマッティの健気さが胸をうちます。この差が大いに本作の雰囲気を印象付けていて、真面目な西部劇というものでした。とここまでは1回目の印象。
 2回見るとJ・Wさんの言われるように一寸面白くないのです。確かに西部劇なのですが、私の知っている西部劇の面白さがやや足りないのです。
 中盤の小屋でコグバーンが二人のアウトローをやっつける場面があります。情報を吐きそうなムーンに対してクインシーがナイフで手の指を切り、腹を刺します。この二動作を経てコグバーンは腹の上にあるホルスターから銃を抜いてクインシーを撃つ。コグバーンは一動作です。遅いですね。コグバーン像は必ずしも銃の名人ではありませんが、西部劇の見せ場が銃撃でなく、切り落とした指というのは一寸違うでしょう。
 マット・デイモンの遠距離狙撃も緊張感は「殺しのテクニック」、遠距離感は「シノーラ」、「スターリングラード」に負ける。
 アカデミー賞ものの名馬ブラッキーの活躍はラストの見せ場で、大いに感動はしますが、子ども向きに見える。馬そのものは西部劇では背景として当然過ぎて、従来は殊更焦点は当てられなかったように思います。
 以上、西部劇に対してやや素人っぽいと日本人が云えば生意気か。
 左独眼とライフル射撃。通常右目が見えない場合、ライフルの構え方は左利きの方が自然ですが、ジェフ・ブリッジスは右利きと同じようにして撃っていました。その代り左目が銃の中心線の上に来るように、思い切り顔を銃の上に被せていました。余程左利きが不自由だったか、あれでもちゃんと当るかのどちらかでしょう。
 14歳のあの可愛いマッティが26年経ったら、どうしてあんな不細工になるのでしょうか。余程、独りの生活が厳しかったのでしょうか。

投稿: 老レンジャー | 2011年7月 8日 (金) 16時22分

私も計画停電で不規則な上映を、南町田でやっと見ました。観客も10人余りの淋しさで、西部劇の将来が不安になりました。デュークとは,別物のコーエン西部劇で、(デュークの凄さを再認識)、久し振りの西部劇を大いに楽しんで来ました。ジェフ・ブリッジも適役でした。何時もは原作は,見てから読む様にしてるのですが、今回は読んでから見てしまい、話しの説明不足も判るので、評価が甘く成ってしまいます。マティを中心に進み、真の勇気の持ち主は,マティだと思います。
部分的に興味を引いたのは、法廷と絞首刑で、当時の様子を再現してる様です。弁護士は、パーカー判事と対立した、ウォーレン・リードを彷彿させ、絞首役人は伝説のジョージ・マリドンが登場します。ラストのコールのショウですが、コグバーンはコールのゲリラ仲間で、ここは、マティと再会させたかったです。実際、コールのショウは半年位しか、興行をしておらず、このショウの様子をもう少し見せて欲しかった。
これは、原作からの不満ですが、列車強盗のラッキー・ネッド・ペッパーには当然、鉄道会社が賞金を掛けたと思うのですが、出てないし、強盗団を追うのに、相棒のポーターを失って居たとは言え、一人で行く事は考えられず、ポジー隊を連れていくのが、常道です。でも、それでは、こんな面白い話しにはならないのでしょう。

投稿: 浜の隠居 | 2011年5月 3日 (火) 12時50分

僭越ながら、私もいち早く観られる幸運に恵まれた者の使命として、コメントさせていただくことにしました。

J.W.さま、私もラストは「勇気ある追跡」のほうが好きです。今回のようなしみじみ後日談的終わり方は最近の映画では多いですね。しみじみしたのもいいけど、スカっとした気分で劇場を後にしたい。「ずっと座ってなさいクソ野郎!」はマティの気の強さが健在なのが示されて良かったですが。原作本は未だに読んでないのですが、ラストに唐突に出てきたヤンガー兄弟は何?ルースターが「ワイルドウェストショー」に加わっていたのはカントリル時代の縁ということなのでしょうか。彼も晩年は血なまぐさい世界から引退し、それでも派手な生き方が合っていたということなのかな。

私が年齢的に自分で劇場に足を運ぶようになった80年代以降の西部劇はなぜか冬や雪のちらつくロケが多いです。気候的に撮りやすいんでしょうか。太陽ギラギラなほうが西部劇のイメージなんですがね。

老レンジャーさんも「真面目な西部劇」と書いてらっしゃったように、丁寧なつくりですが、ユーモアや「痛快さ」があまりなかったのはさみしかったです。でも突撃前のセリフは前作とほとんど同じだった気がします。あれも原作に忠実なのでしょうか。そういったことも含めて、全体のイメージがデュークの前作とあまり変わってなかった点はうれしかったですよ。

一昨年の「3時10分、決断の時」が「今風の」ハリウッドらしく派手なアクション映画的つくり方をしたのと対照的に、今作は西部劇を撮るのだという意識より、西部を舞台にした少女の冒険物語を、違った意味で「今風に」(コーエン風に?)描いた作品、との印象でした。やっぱり、この映画の「主演」はスタインフェルドでしょう。単身で来場の高齢のご婦人が劇場に何人かいたのも驚きましたが、「少女の成長物語」みたいな良いイメージの宣伝のおかげかも知れないと思ってみたり。

ちなみに他の映画サイトのレビューなどみると洞察に満ちた深読みの凄まじい論説が数々展開されてるのですが、・・・やっぱりあくまで「西部劇愛」に立脚したここのレビューがいちばんホッとしますww

投稿: 矢端想 | 2011年4月16日 (土) 09時57分

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