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教会の鐘は鳴る

製作:1955年
原題:Count Three and Pray
監督:ジョージ・シャーマン
出演:ヴァン・ヘフリン、ジョアン・ウッドワード、レイモンド・バー、アリソン・ヘイズ、ナンシー・カルプ

 劇場公開された記憶がありませんが邦題があるのは、テレビ放映されたんでしょうね。原題は曰くありげだけれど、邦題は家族向け作品風です。しかし、ジョージ・シャーマン監督は威勢のいい西部劇をいろいろ作っているし、IMDbの分類キーワードは、「ドラマ、西部劇」なので、「ドラマ」というのがちょっと気になったものの、まあ「西部劇」には違いなかろうと思って、見ました。撃ち合いが沢山あって、大勢死ぬのがいいってわけじゃないけれど、見ると、この映画、時代は南北戦争直後ですが、ガンベルトを着けている人物はいないし、ピストルは最後まで一挺も現れず終いです。

 開巻、哀調を帯びた「ジョニーが凱旋するとき」の調べに乗って、同郷の若い復員兵が三人、徒歩で故郷に帰ってきます。一人は北軍、二人は南軍の軍服を着ています。同じ町の出身の友人同士でも、入隊先は敵味方ということがあったんですね。北軍のルーク・ファーゴ(ヴァン・ヘフリン)は、戦前は酒飲みで、女性の後を追っかけ回すだけのろくでなしだったようですが、戦争の悲惨を見て、ろくでなし生活と訣別し、牧師になって人の道を説く決心をしています。

 北軍に参加したルークを町民達は快く思わず、ルークの家は門口に「裏切り者」と書かれて焼かれており、教会に行ってみると、これも焼け落ちています。教会脇の牧師館は焼け残っていますが、近づくと銃を撃たれます。孤児で、男物のシャツとスボンを着たリシー(ジョアン・ウッドワード)という娘が住み着いていて、リシーが護身用に持っている単発の長銃が、この映画に現れる唯一の銃器です。ルークはリシーと話し合い、牧師館を半分ずつ使って同居生活を始めます。

 ルークは、リシーと一緒に投げ縄で野生の白馬を捕らえて乗馬にし、この馬で町の競馬に出て勝ち、賞品に製材所の主人から材木を貰って、リシーや友人に手伝って貰いながら、自分で教会を建て始めます。

 町のボスは、町一番の金持ちで雑貨屋のアルバート・ルーミス(レイモンド・バー)で、彼は左手が麻痺している障害者なので、戦争には行っていませんが、北軍だったルークを憎んでおり、ルーミスの店に買い物に来たルークが、ルーミスの配下と大格闘する場面があります。夜、未完成の教会に火を付けに来たルーミスの子分を、リシーが撃つ事件もありますが、これがこの物語の唯一の怪我人です。南北戦争のために傾いた名家の娘のジョージニア(アリソン・ヘイズ)も絡んで、南北戦争は、我が国の明治維新や太平洋戦争と同様に、アメリカ社会に大変な変動をもたらしたのだなと改めて思わせられます。

 かすかにコメディの気分もあります。手作りの教会ができ、最初の日曜日にルークが司会する礼拝に、思いのほか人々が集まって来たところへ、ルーミスと子分たちが荷馬車でやって来て、ルーミスが店の会計係に、集まった人それぞれへの売掛金残高を、「誰は20ドル、誰は30ドル」などと読み上げさせ、「これを払うまでは、もう掛け売りはしないぞ」と嫌がらせをいいます。そして人々が教会に入って賛美歌を歌い始めると、外の連中がバンジョーを鳴らして騒々しく歌って邪魔をし、教会にいた人々が腹に据えかねて飛び出して、ルーミス一味と殴り合いを始めます。酒場で、ちょっとしたきっかけから、客全員の大乱闘になる場面は西部劇の定番ですが、教会の日曜礼拝に来た信徒と不信心な連中が、教会の前で大立ち回りというのは、他に見たことがありませんね。

 ルーミスたちは僧正を招いて、ルークが牧師に不適格と主張し、牧師館で査問会が開かれますが、この僧正はなかなか老獪かつ太っ腹で、ルークの不行跡は牧師になる前のことだからと不問に付し、それよりも結婚してない男女が一つ屋根の下で暮らすのは問題で、直ぐ結婚すべきだといいます。すでにルークを好きになっていたリシーがルークの腕を取り、僧正に銃を渡すものだから、腕を組んだルークとリシーの後に、銃を持った僧正が続き、教会に向かって歩いて行くラストシーンは、なにやらショットガン・ウエディングの雰囲気です。

 こ映画、西部劇度は「風と共に去りぬ」より下ですね。だって「風」では、少なくともスカーレットが屋敷に侵入した北軍の脱走兵をピースメーカーで撃ち殺したのに、この作品では人死にはゼロですからね。普通なら生き残れそうにないレイモンド・バーも、この物語では、本来は身分違いのジョージニアと結婚し、最後にルークがお咎めなしなのを見て、舌打ちして去って行くだけですからね。IMDbでは、「風と共に去りぬ」は「ドラマ、ロマンス、戦争」であって、「西部劇」とはしていません。この映画も「西部劇」は余計ですね。まあ、西部活劇を期待すると当て外れですが、「ドラマ、ロマンス」としてなら、それなりに面白いです。

 ジョアン・ウッドワードは、テレビではすでに大活躍だったものの、映画はこれが初出演です。彼女は、その後、アカデミー賞を取りますね。IMDbの誰かさんの感想に、「ジョアン・ウッドワードは素晴らしい。ポール・ニューマンのやつ、うまくやりやがって!」とありますが、今頃そんなことをいっても遅い。

投稿: ワフー | 2010年6月 5日 (土) 21時06分

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