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平原の勇者

制作:1949年/公開:1953年日本:旋風平原児(改題)
原題:The Fighting Man of the Plains
監督:エドウィン・L・マリン
出演:ランドルフ・スコット、ビル・ウィリアムズ、ヴィクター・ジョリイ、ジェーン・ナイ、デイル・ロバートソン

 ナット・ホルト・プロのシネカラー第2作。始まりは1863年8月のクヮントリル・ゲリラのカンザス州ローレンス襲撃で、ゲリラのジム・ダンサー(ランドルフ・スコット)は、以前に兄を殺した仇のバート・スローカムを、その娘のイヴリンの目の前で撃ち殺す。今度はイヴリンがジム・ダンサーの名前を父の仇として心に刻みつけるんだけど、実はジムが殺したのは人違いで、仇のバートの弟だったのが面倒の種だよ。スコットがこんなふうに人を撃つのは珍しいね。

 戦争が終わると、クヮントリル・ゲリラは無法者を輩出するんだね。曰くアーチ・クレメンツ、ヤンガー兄弟、ジェシー・ジェイムズ、それにこの映画の主人公のジム・ダンサーなど。ジムが実在の人物かどうか、あっしは知らねえけど。

 数年後、ジムに弟を殺され、自分も狙われているという思いのバート・スローカムは、シカゴのピンカートン探偵社のカミングスを雇い、無法者のジムを捕らえさせる。ところが、ジムをカンザスの探偵支社に連行中に、増水した川でカミングスが不慮の溺死を遂げる。これを奇貨に、ジムは自分がカミングスになりすまし、探偵支社に出頭して、ジムを捕らえたが事故で死んだっていう。カンザス支社では誰もカミングスの顔を知らねえから、それで通っちまうのさ。

 ジムは探偵社を退職し、カンザス州ラニヤードで、鉄道工事の工夫で働く。顔役のスローカムは鉄道会社の代理人になり、姪のイヴリンと一緒に、たまたま同じラニヤードに住んで、牛を鉄道で出荷させようと、カウボーイを町に呼び寄せてる。牛を追って来たカウボーイたちが浮かれて、ピストルをぶっ放しながら町に入り、一人が通りにいたイヴリンに抱きついたのを、ジムが殴り倒してイヴリンを助ける。怒ったカウボーイが「決着をつけよう。5分やるから銃を見つけてこい」っていい出し、ジムが「話はつく」っていうけど、カウボーイは「銃しか方法はねえ」っていう。

 町民やカウボーイが見守る中、ジムは酒場で保安官に借りた短銃をズボンの前に夾んで、相手に向かって歩いて行き、抜き撃ち一発で相手を倒す。それからカウボーイたちの方を向いて「尋常の勝負だったろう?」って尋ねる。カウボーイたちは黙って馬を下り、死んだ仲間の収容にかかる。果たし合いの直後にこう念を押す場面は珍しいね。まあ、後からどうこういわれたかあないよね。この件でジムは町民に信頼され、保安官を頼まれる。ワイヤット・アープ物語風だよ。スローカムは、子分のガンマンのジョニーを保安官にしたかったんで当て外れさ。

 ジョニー役は若いビル・ウリアムズ。彼はその後テレビ西部劇なんかでも活躍したようだけど、あっしが次に見たのは確か「リオ・ロボ」だったね。今度は老保安官なもんだから、手前が年を取ったのを棚に上げて驚いたよ。光陰矢のごとしだねえ。

 ビルの身元を疑うスローカムは一計を案じ、探偵社からカミングスの顔を知ってる探偵に来て貰って、ジムの首実検をさせようとする。町に着いて酒場に入った探偵のベイリーは、南北戦争の戦友だったデイブ・オールダム(ヴィクター・ジョリー)に出会う。オールダムと美人のフローレンス・ピール(ジェイン・ナイ)が酒場の共同経営者なんだよ。オールダムは察しのいい男で、始めからカミングスが実はジムだって見抜いてるけど、ジムの同情者だよ。

 「保安官が確かにカミングスか見に来た」っていうベイリーに、オールダムは「保安官の正体が誰だろうと、彼は町の治安を守る掛け替えのない男だ」って熱心に説き、ベイリーは眉にしわをよせて聞いている。そこへジムが巡回して来たのへ、オールダムが「俺の戦友でピンカートンのベイリーだ」って紹介し、2人は間が悪そうに挨拶する。

 ベイリーが「外へ出よう」といって3人で外へ出ると、道路の向こう側にゃラニヤードとジョニーが立って、様子を窺ってる。するとベイリーは、ジムに握手の手を伸ばし、「久しぶりに会えて嬉しかったよ。じゃ、達者でな」っていって去る。酒場に戻って、ジムがオールダムに「どうやったのか知らんが、有り難う」っていい、オールダムは「私は話をしただけで、ベイリー自身が決めたんだ」っていう。この腹芸の場面も一つの山場だよ。あっしはヴィクター・ジョリーのファンだけど、悪役でないのを見るのもいいね。

 保安官のジムが取り締まるごろつきの中にヤンシーって男がいて、ジムは無法者時代にこの男と仲間だったことがあり、ヤンシーがジムに「あんたにゃどこかで会ったが、思い出せねえ」っていって、これが気がかりな伏線になるよ。

 開巻のタイトルに「新人デイル・ロバートソン」とあって、この映画は彼のデビュー作だよ。役柄は、実際に南軍ゲリラにいたことのあるジェシー・ジェイムズ。映画の中程で登場して、ゲリラ仲間だったジムと顔を合わせる。ジムはジェシーに「君は銀行でも狙いに来たのか知らんが、俺は今は保安官だ。君と撃ち合いはしたくない」っていい、ジェシーは町を出て行く。だけどジェシーは大詰めの対決場面にまた現れるよ。撃ち合いの後、ジムにフローレンスが寄り添って大団円さ。

 エドウィン・L・マリンは大監督でもないだろうけど、この映画はしっかりまとまっていて、好きな作品だね。

投稿:クインキャノン | 2010年4月17日 (土) 16時23分

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