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アパルーサの決闘

Posappaloosa01 制作:2008年アメリカ
原題:APPALOOSA
監督:エド・ハリス
原作:ロバート・B・パーカー 『アパルーサの決闘』早川書房
出演:エド・ハリス、ヴィゴ・モーテンセン、レネー・ゼルウィガー、ジェレミー・アイアンズ、ティモシー・スポール

雇われ保安官が町から悪を一掃するお話しと聞いて、すぐに我等オールドウエスタンファンには忘れることの出来ないE・ドミトリクの傑作「ワーロック」を思い浮かべましたが、実際に見てみると、明らかに「ワーロック」の「IF版」あるいは「タラレバ版」、またまた「44-40」さんの表現を拝借すれば「ワーロックに対する返歌」ですよネ。そのように見えました。「もし」クレイ(H・フォンダ)とモーガン(A・クイン)のコンビがジェシー(D・ハート)の出現で壊れることがなかったら、「もし」ジェシーが清純な女性ではなくしたたかな毒婦だったら、「もし」2人に権力を持たせ過ぎたことを町民が後悔し2人に町を出ることを求めなかったら、と云うところでしょうか。

ただ、E・ハリス、V・モーテンゼンの硬派で最高に男臭い2人に加えてアカデミー女優R
・ゼルビガーと云うキャスティングから勝手に期待していた正統派西部劇としての重厚さがイマイチ感じられなかったのは、「タラレバ」がいささかパロディっぽい所為かも知れません。凄腕ガンマンの主人公がしたたか女ゼルビガーに苦もなく誑かされる姿など滑稽と云うか情けないほどじゃあないですか。

実はこの映画、もう1つ楽しみにしてたことがあったんです。ウィドマーク、パランス、マービン等が足を洗ったり、現役を退いたり、亡くなったりで西部劇から主役級の悪役が姿を消して久しい今日、待ちに待ったJ・アイアンズの登場とあってワクワク物だったんです。でも流石のアイアンズも少し歳を取り過ぎていましたね。良かったのは良かったんですが、凄みと精悍さと云う点ではちょっと期待を裏切られました。「シルバラード」「トゥームストーン」辺りで出ていてくれればと悔やまれます。

この映画で一番気持いいのは、ちょっとやそっとでは揺るがないハリスとモーテンゼンの男の友情でしょう。定石的にはゼルビガーの嘘で2人の間にひびが入るところですよネ。「ワーロック」の登場人物がみんなどこか屈折しているのに比べて、清々しい思いでした。ドミトリクは所謂マッカーシー旋風に屈して仲間を裏切った転向組ですからね、仕方ないのかもしれません。

ところで「ワイルドレンジ」辺りからでしょうか、リアルな銃声へのこだわりが目立つように
なってきたのは。この映画もご他聞に洩れず、昔我々が親しんだ西部劇では考えられないようなショボイ銃声でした。子供の頃、紙袋に息を吹き込んで膨らませ手で叩いて破裂させては女の子を泣かせて喜んでいたものですが、あの音とよく似てます。「ジェシー・ジェイムズの暗殺」ではダンボール箱を踏み潰した時に出る音にそっくりだと思いましたが、だんだんヒドクなってきますね。アレが本当に西部開拓時代の銃声に近いのかどうか確かめるすべはありませんが、私にとって西部劇の撃ち合いがひどく迫力のないものになったのは事実です。映画ですからね、イリュージョンの世界ですよ。当然のことながら迫力を優先すべきでしょう。アレの方が「真に迫っている」あるいは「迫真力がある」と云う見方もあるとは思いますが、私は「シェーン」の雷鳴のような馬鹿でかい銃声の方が断然いいと思ってます。中学の頃「心理的リアリズム」との評があったのを憶えてますよ。J・スティーブンスだってリアリズムの権化みたいな監督さんですからね。

投稿: ウエイン命 | 2010年4月 1日 (木) 22時39分

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コメント

やっと観ました。アパルーサの決闘。
印象としては、地味な映画ですねー。よく作り込まれた作品だとは思いますけど。日本で「3:10 to Yuma」が公開されてこれがされなかったのはわかる気がします。(ついでに、「ジェシージェームズ~」が公開されたのはブラピだったからだけだと思います。)

正直言って、ヒロインのアリーが不愉快でしょうがなかった。こんなかんじの女性、いるよね。どんな男に対しても花のような笑顔で好意を振りまいてくるやつ。妙に体とかくっつけてきたりして。自分に魅力があると自覚していて、男に勘違いさせるのを生きがいにしているような。どっか破綻しているんですよね。このアリーも最初の会話からして「変な女」オーラを発散させていた。ただ、彼女の性向も、西部で女が生き抜いて行くひとつの道なのかも知れない。

ウエイン命さま、やっぱり銃声ショボいですか。最近の映画の銃声も僕は結構好きなのですが、確かにこの作品のはショボいと思います。「ボフッ」という感じですね。最近でも「パン!」という鋭い音のものは好きです。「ズガーン」とか「ズギューン」よりも、本当に当たったら痛そうな気がします。マカロニ独特の「ズギューン」はいかにもウソ臭いですね。あんな短銃内の火薬の破裂であんな音がするものかと。シェーンの「心理的リアリズム」は、ジョーイ少年の聞いた銃声の印象、というやつですね。実際には屋外や建物内、反響する場所によって全く音の印象は変わるので、どのへんを銃声のイメージにするかということなのかとも思います。
ちなみに、ハワイで唯一現実に自分で撃って聞いた26口径ルガーの銃声は、「ポン!」でした・・・。

あまり華のない作品ですけど、魅力は男二人の静かな友情に尽きます。「法で裁けぬ悪を討つ」的なラストも好みです。こういう行動こそが西部劇の華か。エヴェレットはいいやつだ。
アパルーサの町も美しかったですね。夕映えの中を去ってゆく絵も美しかった。これも西部劇には必須です。
ついでに、アパッチ青年がジャニーズ風のイケメンでした。

投稿: 矢端想 | 2010年9月 5日 (日) 01時58分

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