「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」
2005年アメリカ
原題:The Three Burials of MELQUIADES ESTRADA
監督:トミー・リー・ジョーンズ
出演:トミー・リー・ジョーンズ、バリー・ペッパー、ドワイト・ヨーカム、フリオ・セサール・セディージョ
恵比寿ガーデンシネマ1にて16:20の回観賞。観客ほぼ満員。空席最前列のみか。
監督(トミー・リー・ジョーンズ)、脚本家(ギジェルモ・アリアガ)共に西部劇として語られたくないようだが、スクリーンに映し出される風景はどうしようもなく西部劇だ。しかし、これは西部劇ではない...
暴力シーンがありながら死者は、間違って殺されたメルキアデスだけ。保安官も主人公も「撃てない」と言って引き金を引かない。何も当てる必要はない威嚇射撃のシーンでもよいのだ。ジョン・ウェインでは考えられない。 ”撃ち合いをしないから” ”人が死なないから" ”西部劇でない” と言う気は毛頭ないが、やはりこれは西部劇として作られていない、対決の物語ではないのだ。北米大陸南西部(テキサスとメキシコ)を舞台にした老カウボーイの国境物語。(※1)
C・イーストウッドは、娼婦を傷つけたカウボーイを金のため撃ち殺して(「許されざる者」)オスカーを受賞し、トミー・リー・ジョーンズは、仲間を殺した国境警備員に遺体を担がせ遺族の元まで運ばせてカンヌを受賞した。どちらも公権が罰しない犯罪者への自警行為(※2)。方や西部劇としてオスカーを獲り、方や西部劇ではないと言い切る。あえて西部劇にだけはしなかったのではないだろうか。なにせ今ではアメリカでさえ西部劇はコケル。
それにしても発見されたメルキアデスの遺体をピート(TLJ)が身元確認するシーンには唖然。何せコヨーテにアゴから喉の部分を食い千切られた遺体の凄いこと。ほとんどゾンビ映画だ。このままこの遺体をずっと見せられるのかと心配になったが大丈夫?次に出てきた遺体はきれいなアゴに。死体にきれいもないもんだが...
この後、蟻を追っ払うために火を点けられたり、腐敗防止に不凍液を呑まされたりと、メルキ君の遺体が何度か笑かせてくれるのだが、死者に対する礼というものがないのかね。こういうのは仏教徒の日本人としてはあまり感心できない。これが本当に友情の為、贖罪の旅なのか?動機(友情・贖罪)と行動(搬送)の重要性が逆転してしまっている。
でも面白いというか嫌いじゃない。乱暴者が兄弟分の葬式を出すため通りがかりの屑屋を巻き込んで大騒ぎ(何せ死体にかんかんのうを踊らせる)となる落語の 「らくだ」 を何故かしら思い出した。まっ日本人も同じということか。(^_^ゞ
ただし、これで終わってしまえばコミカルでちょっと風変わりなロードムービーになってしまうのだが...後はネタバレになるので見てのお楽しみ。
■メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬
オフィシャル・サイト
http://www.sonyclassics.com/threeburials/
オフィシャル・サイト
http://www.troisenterrements.com/
オフィシャル・サイト
http://3maisou.com/
※1 同じようにメキシコに思いを馳せる若いカウボーイの国境物語「すべての美しい馬」がある。こちらも悲しい結末が。
※2 「これは自警行為による正義を描いたものではなく、理解への旅、贖いの旅、友情の持つ意味に忠実であろうとする旅なんだ。」(脚本家ギジェルモ・アリアガ、劇場パンフより)
■2006/5/5 加筆訂正
【ワシントン=丸谷浩史】 日本経済新聞 ・ 平成18年5月16日(火曜日)
ブッシュ米大統領は15日夜、不法移民対策についてテレビで演説し、メキシコ国境の警備に米軍の一部である州兵6000人を来月上旬から派遣すると表明した。同時に国境警備局の人員を現在の1万2000人から2年かけて6000人増やす。共和党保守派などで不満が強い不法移民対策で具体策を打ち出し、11月の中間選挙に向けて求心力の回復を図る。
■2006/5/18 追加
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コメント
>かえるさん
こちらこそ、ご無沙汰しております。
メキシコとの国境付近を舞台にした作品は西部劇やアクション映画では
沢山ありますが、今回のような作品はめずらしいのかも?
同じ国境でも国を持たいない民、クルド人の映画となるとまた違ったものに。
確かに気になるテーマですね。
>sabunoriさん
TB&コメントありがとうございます。
私も公開終了近く(4月中旬)に観たのでそちらと時期的に大差ないですね。
この写真は、やはり大きなスクリーンで観たい作品です。その点で恵比寿GCは
ちょっと小さいかな...
投稿: GOGH | 2006年5月 5日 (金) 14時26分
こんにちは。
TBありがとうございました。
こちらの作品、ちょっと遅れて関西では今公開中です。
無骨な男たちのストーリ、だけど妙なおかしみがあって私は結構気に入りました。
投稿: sabunori | 2006年5月 5日 (金) 11時48分
こんばんは。お久しぶりです。
善悪でいったら、首を傾げてしまうようなことも含めて、面白い魅力的な作品でした。
国境というのはとにかく興味深いテーマです。
投稿: かえる | 2006年5月 5日 (金) 00時35分
>Kenさん
随分前の記事へのTBにもかかわらず早速、TB&コメントをありがとうございます。
"西部劇 "の定義を「西部を舞台にした映画」とすれば、まぎれもなくこの作品も
西部劇なのでしょうが、やはり西部劇として見ない方がよいのでしょうね。
この後、取り上げた「ヒストリー・オブ・バイオレンス」の方が、はるかに西部劇にも
よくある題材、展開の作品ですが、これまた西部劇とは別物ですね。
投稿: GOGH | 2006年5月 5日 (金) 00時19分
こんにちは、TBありがとうございました!
この作品、ちょっと風変わりでしたね。
それはもしかしたら、この作品を西部劇として捉えてしまうからなのかもしれない、とこちらの記事を拝見して思いました。
確かにカウボーイや銃が出てくる西部を舞台にした映画ですが、あくまでも無骨な友情と贖罪の物語なんですよね。
投稿: Ken | 2006年5月 4日 (木) 23時51分